【コラム】【経営改善】20年のGAP実践から見えた、農場経営を強くする仕組みづくり

概要

 GAPの取組みは、一言で説明できないほど多くの取組みが入っています。そこで、GAP・ITサポートでは2024年より各分野の専門家の方々とコラボして、コラム連載と無料セミナーを企画することにいたしました。
 第5弾の企画は「経営改善」です。今回は、農業経営にGAPを活用されている有限会社だんだんファーム掛合 取締役農場長 小田 達雄様に、「20年のGAP実践から見えた、農場経営を強くする仕組みづくり」と題して、お話しいただきます。

講師紹介


講師:小田 達雄
有限会社だんだんファーム掛合 取締役農場長
有限会社だんだんファーム掛合ホームページ
 島根県で40年にわたり、産地づくり・農場経営・人材育成に携わってきた実践者。JA勤務20年の現場経験を土台に、GAPの考え方を取り入れ、水耕栽培の産地立ち上げや産地全体のレベル向上に尽力。農家・JA・行政・市場関係者を巻き込んだ仕組みづくりを進めてきた。
現在は農業法人の経営・現場運営に携わりながら、GAPを「認証取得のための制度」ではなく、「人と経営を育てる仕組み」として活用。定期巡回、教育の仕組み、記録の簡素化、データに基づくPDCAなどを通じて、作業時間削減や収益改善、人材育成を実現してきた。
本セミナーでは、20年にわたるGAP実践の中で得た試行錯誤と具体事例をもとに、農場経営を強くする“続く仕組みづくり”についてお伝えします。

1.はじめに

 20年前、国内でまだGAPが十分に認識されていなかった時代に、私は地域で県内初のGAP導入に取り組みました。
GAPは「認証を取るための制度」と捉えられがちですが、本質は “農場経営を強くするための仕組み” だと私は考えています。私自身、産地づくりや農場運営の現場で20年以上GAPを実践し、認証のためではなく、経営改善が回り続ける仕組みとしてGAPを活用してきました。
本コラムでは、GAPを活用して「自分が現場にいなくても回る農場」を目指してきた、具体的な考え方と工夫を紹介します。

2.GAPと経営改善の仕組みづくり

 私がGAPに取り組んだ出発点は、「GAPが目的」ではありませんでした。産地化を進める中で、産地のリスク低減、品質と安全性を担保する手段としてGAPを導入しました。
当初は仲間内のルールとして普及を試みましたが、内輪だけでルールを作ると、どうしても緩さや曖昧さが出てしまいます。そこで、外部審査がある仕組み(JGAP)を採用し、生産者や従業員の意識をそろえていきました。次に、GAPを“形骸化させず”経営の力に変えるために、私が重視してきたポイントを紹介します。

3.記録は「書かせる」から「意味づける」へ

記録はGAPの中核ですが、現場にとっては負担になりやすい部分でもあります。そこで私は、GAPの要件を満たしながら、栽培などの項目も入れつつ、手間のかからない帳票を新たに設計することにしました。
例えば、丸と数字だけで書けるような農場オリジナル帳票にしたり、書き直しを前提にしない運用にしたり、圃場にぶら下げて記録できる形にしたりと、現場がラクになる工夫を重ねてきました。
「提出」が目的ではなく、記録に“意味”が宿る設計にすることで、記録そのものが現場を“経営に参加させる仕組み”になっていきます。

4.データが経営判断を変え、利益構造を変える

 GAPで記録が残るようになると、次に起きる変化は 「経営判断がデータ化される」 ことです。私の農場では作業時間を測り、標準作業時間を作り、月次でPDCAを回す仕組みを作りました。
その結果、「回転率を上げる」よりも「一作の収量(重量)を上げる」ほうが利益が出るとデータで分かり、作付けや品種選び、運用そのものを変えました。年間作付け数は2割減、逆に収量は約1.2倍へ。
こうした改善は、現場の努力だけではなく、記録→分析→意思決定がつながったことで実現できたものです。

5.GAPと人材育成

私は、GAPを経営改善のツールとして活用する最大のメリットは、人材育成にあると考えています。
私の農場では、GAP導入と同時に「権限委譲」の仕組みを整えました。日々の帳票記入やデータ整理、目標と計画の作成、栽培管理などを責任者に任せ、私はチェック役に回る体制へ移行しました。
GAPという“基準と記録の仕組み”があることで、仕事の範囲や判断基準が明確になり、権限移譲がスムーズに進みます。任された側は責任が生まれ、行動が主体的になります。
さらに、月次でPDCAを回す仕組みを組み合わせることで改善が加速し、結果として「自走できる人材」が育ち、組織全体のレベルアップにつながっていきます。人材育成こそが、会社にとって最大の財産になるのです。

6.セミナーで詳しくお伝えすること

本セミナー当日は、本コラムでは触れきれない「定着化」や「確認」の仕組みについても、具体例を交えて詳しくお話しします。例えば、次のような内容です。

・権限委譲を成功させるチェック体制と、改善が回るPDCAの回し方

・仕組みを“続く形”にするための、教育と習慣化の仕組み

・「確認」が現場の自走を生む理由(運用ルールの作り方)

無料セミナーの詳細

・題名 「20年のGAP実践から見えた、農場経営を強くする仕組みづくり」

・日時:2026年2月24日(火) 15:00 ~17:00 
・会場:オンライン開催(Zoom)(申込後「URL」をお送りいたします)
・講師:小田 達雄(有限会社だんだんファーム掛合 取締役農場長)
・参加費:無料
・参加条件:特になし
・主催:GAP・ITサポート合同会社

お申込みいただいた方には、録画データのURLをお送りいたします。
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