【GAPと私】シリーズ:伊與田 竜氏(日本GAP協会 開発部)

 2024年より弊社の新しい取り組みとしてGAP普及に尽力されている方々に、これまでのGAP普及や現在の状況・今後のGAPの未来について語っていただく場として、【GAPと私】というコラムを開始いたしました。第1回目は日本GAP協会開発部の伊與田様にこれまでの取組みやGAPの今後についてお伺いしました。


今回の執筆者:伊與田 竜(いよだ りゅう)
日本GAP協会 開発部 技術士(農業部門)
これまでにJA、北海道庁で農業指導員・普及員としておよそ30年勤務。JGAP、ASIAGAP、ガイドラインに即したGAPに関する解説書を3冊執筆し多くの農場に手引書として活用されている。2020年より日本GAP協会にてJGAPの開発に携わる。

1 GAPとの出会い

私は2020年まで北海道で普及指導員として農業者の技術的、経営的な指導、支援に携わっていました。
私が最初にGAPを知ったのは、2008年2月のGAP研修会でした。
研修会ではJGAPの審査員とGLOBALG.A.Pと認証機関の職員がそれぞれGAPについて説明されていました。
講師の方は整理された倉庫の写真等を紹介しながら説明されており、今までになかった概念を聞いて、「これからの農業はこんなふうになるのか」と感じたことを覚えています。

2 GAP普及の担当として

その年の4月にクリーン・有機農業主査として上川農業改良普及センターに赴任し、その年の10月に所長から次年度(2009年)GAP導入に係る事業を導入するので、管内にGAPを導入するように指示を受けました。

そこで、事業が始まる前に自分で指導できるようにしたいと、指導員基礎研修、団体認証講座、審査員研修を東京に受けに行き専門的なGAPのノウハウを習得しました。
その後地域にGAPを導入しようとしますが、私が指示を頂いた所長は異動され、農業者、関係機関団体、同僚ともに「とてつもなく面倒だし、導入する理由がわからない。」と導入に猛反対され、導入のメドすら立たず、途方にくれる時期がしばらく続きました。

3 徐々にGAPが地域に広まって

それから、事務所内でGAP普及についての会議を繰り返し(写真1)、農業者、関係機関とひざ詰めで説明することで、少しづつ理解が得られるようになりました。
その後、指導者を育成するための、指導者用の手引き「JGAP導入の手引き」(写真2)作成や5日間研修(写真3)の実施などにより、事務所内でGAP普及推進の基盤をつくりながら農業者、組織への支援を進め、徐々に地域へ普及が進むようになりました(写真4,5,6)。

それらの取り組みが認められ2012年にGAP協会から「GAP普及大賞」、2014年に北海道から職員表彰(写真7)をいただき、いろいろな所で紹介されることとなりました。
その後、日本GAP協会の技術委員や、農業経営学会での発表等当時年間10回以上は東京に来ていたと思います。

最初は農業者、関係機関団体、同僚への説明にとても苦戦したことを思うと、不思議な巡り合わせと思いました。

写真7職員表彰式で高橋知事と(2014.9)

4 オリパラでGAPが注目される存在に

その後も全国的にはGAP普及の機運は、なかなか高まらなかったように思いますがオリンピックの食材調達基準となり、国も普及の政策を積極的に実施したことにより、全国的にGAP普及の気運が高まったと思います。

私も国から東京に呼び出され、農水省のGAP導入マニュアルの作成を手伝ったり、当時自民党農林部会長だった小泉衆議院議員にGAPの必要性について説明したり(写真8)、いろいろと担ぎ出されました。
GAPの取り組みについては、異動した赴任地で地味に進めていましたが、これも不思議な巡り合わせと思います。

写真8 GAPについて小泉議員にレクチャー(2017.4)

5 日本GAP協会職員に

2020年からは日本GAP協会からお声かけ頂き事務局職員として、基準書の開発等の業務に携わることとなりました。
GAPの基準書の作成には、関係する法令、技術、事故データ等さまざまな情報が関係します。また、農業者、流通・小売・加工業者、審査関係者、研修関係者等さまざまな方が関係します。
それらのデータ収集、意見調整と慌ただしい日々が続きました。

GAPの価値は食品安全がとても大きな要素でしたが、近年は持続可能性、SDGsに価値を置く実需者も多くいらっしゃいます。
世の中の状況、認証システムの変遷を経て、今後も状況は変わり続けます。その中でGAPが国内農業、流通小売業の発展に貢献できる存在であり続けることが求められていると感じます。

6 GAPと信頼

GAPの認証は農場、団体がフードサプライチェーンに携わる方々に信頼されるための証です。
GAPの運営には、認定機関、認証機関、研修機関、審査員、指導員、協会事務局職員等さまざまな方々が携わり、それらの方々の努力によって成り立っています。
関係する方々からの信頼がGAPの発展にとって最も重要であることを強く感じます。GAPに携わる方々が相互に信頼できる開かれたシステムが構築され、信頼が礎となることによりGAPが日本の農業に益々貢献することを期待したいです。

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