GAPとSDGsは補完関係!?

先日、一般社団法人SDGs支援機構認定SDGsビジネスコンサルタントになりました。SDGsを学んで、GAPとSDGsはお互いの足りないところを補い合い、いいところを伸ばしてくれると思いましたので、私の思ったポイントをご紹介したいと思います。SDGsにご興味がありましたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。まずはご説明させていただき、よろしければ導入支援(コンサルティング)をさせていただきます。

 GAPとは「Good Agricultural Practice」の頭文字を取ったもので、直訳すると「よい農業のやり方」。農林水産省では農業生産工程管理と呼んでいます。GAPには認証制度があり、日本で認証農場数の多いJGAPの項目数は120項目(青果物)。JGAPのスキームオーナーである日本GAP協会は、「ASIAGAP/JGAPの認証プログラムを通して、世界共通の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献します。」とGAPとSDGsの対応も紹介しています。(日本GAP協会のHP参照

 SDGsとは「Sustainable Development Goals」の頭文字をとったもので、日本語では「持続可能な開発目標」。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。(外務省のHP参照)

取り組み方の違い

 GAPには基準があり、要求される基準はすべて満たす必要があります。JGAPの青果物では基準が120項目ありますので、基本的には120項目すべての要求を満たすように、農場を改善していきます。つまり認証を取得するには、準備(改善)に一定の時間がかかり、さらにすべての要求事項を満たしてか確認のために審査を受けます。審査では「できていないこと」が指摘され、指摘箇所を改善してやっと認証が取得できます。認証取得後は継続的改善が求められ、一般的には毎年審査を受けます。
 一方SDGsには、17のゴール・169のターゲットがありますが、すべてを実施するのではなく、この中からできるものを選択し、自分たちで目標を設定し、その達成度を評価します。目標は自分たちで決めますが、取り組みや目標を公開し、公に目標達成を約束し実施していきます。

お互いを補完していると思う部分

 とらえ方によるかもしれませんが、GAP基準は最低限(一定の)のレベルを示しているため、認証を取得している農場は、一定レベル以上の取り組みができている証明に使えます。また、GAPは基準で定められているのは最低限の取り組みのため、「できて当たり前」の雰囲気があり、頑張って認証を取得しても、また基準より良い部分があっても褒めてはもらえません。
 SDGsの場合には、自分たちで目標設定でき、他者と比較するのではなく、過去の自分と比較しその達成度を評価するため、取り組み状況はまちまちです。しかし、自分たちで目標設定できるため、自分たちが頑張っている部分や自分たちのより良い部分を表現することができる、つまりSDGsに取り組むことで会社の取組みや姿勢を表現することができます。
 私はこれまでGAPの推進をしてきたので、一定レベルであることは重要と思います。しかし、一定以上のことが評価されない、農家さんの頑張りが表現できないことに「もやもやした感」がありました。今回SDGsを学んだことで、GAPとSDGsを組み合わせることで「一定レベルの取組みでかつその農場の特徴を表現できる」と思い、お互いの足りない部分を補完していると感じました。

商用利用の違い

 GAPは認証は一定レベル以上の取り組みを保証していることから、取引の条件に使用されたり、商品にマークを入れたり、伝票に記載して認証農場で生産されたことを表現することができます。そのため、GAP認証は多くの場合、商取引で活用されています。
 一方SDGsは商用利用することはできません。あくまで会社の取組みや姿勢を表現するもので、商品に表示することはできません。

共通していること

企業の取組や姿勢を表現するもの

 GAPとSDGsの取り組み方には大きな違いがあり、また商用利用(商品表示等)にも違いはありましたが、商取引の場(購買行動)では「取引先を選ぶ」際にどちらも活用されているという共通点があります。最近の購買行動は、商品やサービスの良し悪しだけでなく、「その企業の取組みや姿勢」で選択されることもあるということです。

企業内部を「見える化」

GAPとSDGsはどちらの取組も企業内部を「見える化」する道具と言えます。GAPおよびSDGsに取り組む前から同様の課題に対する取り組みはしていたと思います。しかし、GAPおよびSDGsを利用することで企業の取り組みを再評価し、企業全体でGAPおよびSDGsを意識して実施できるように「見える化」することができます。これにより、取組の達成評価がしやすくなり、また、改善の必要な箇所に気がつくこともできるようになります。

ビジョンの共有、社員の意識改革、社会貢献の再認識

企業には企業理念や経営方針、社是等あると思います。これらを従業員に浸透させることに努力されてきたと思いますが、GAPやSDGsはこれらを「具体的行動」に落とし込む道具でと言えます。GAPやSDGsを使って企業理念や経営方針、社是等を具体的取り組みに落とし、目標を設定し達成度を把握、評価することができるようになります。また、GAPやSDGsを活用することで、企業と社会との関係を再認識することになり、企業の社会貢献度や社会的役割にも気が付くことで、従業員のモチベーションにも影響を与えることができます。

終わりに

企業は製品やサービスを提供することが社会から求められていることではありますが、企業も社会の一員であり、社会に対してよい面もあれば悪い面もあると思います。SDGsは「持続可能性」に着目し、 地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」 をキャッチコピーとし、企業の良い面はより伸ばし、悪い面はより少なくしていくことを求めています。まずは「できていることを見つけること」。これにより企業と社会との接点が再認識できると思います。その上で「より良い取り組みは何か」を「従業員全員と一緒に考え共有し実施していくこと」。従業員全員と企業の社会的評価を共有し、売上だけでなく、社会的評価を上げる目標設定し取り組むことで従業員の意識改革、モチベーションUPにつなげられれば、そのSDGsの取り組みは成功と言えるのではないでしょうか。

SDGsにご興味がありましたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。まずはご説明させていただき、よろしければ導入支援(コンサルティング)をさせていただきます。